2014年度日本農業史学会賞候補業績募集および研究報告会についてのお知らせ
1)2014年度日本農業史学会賞(学会賞・奨励賞)候補業績募集について
以下の通り、2014年度日本農業史学会賞(学会賞・奨励賞)候補業績を募集いたします。
[学会賞]
(1)対象者 優れた研究業績を公刊した40歳以下の会員(研究業績刊行時点)
(2)対象業績 過去2年間(2011年1月~2012年12月)に公刊された著書およびそれに準ずるもの
[奨励賞]
(1)対象者 将来の発展が期待される研究業績を公刊した40歳以下の会員
(研究業績刊行時点)
(2)対象論文 過去2年間(2011年1月~2012年12月)に公刊された論文およびそれに準ずるものならびに直近の『農業史研究』(第46号)に掲載された投稿論文
[応募方法]
本会会員の推薦によります(著者自ら推薦することを妨げない)。推薦に当たっては、所定の推薦書を付してください(但し直近の『農業史研究』に掲載された論文については、会員による推薦を要しない)。一度対象となった業績の再応募は認められませんが、同一人物でも別の業績であれば差し支えありません。
推薦書および対象となる業績(著書の場合1部、論文の場合5部(コピーでも可))を事務局までご送付下さい。締切りは、2014年1月31日とします。「推薦書書式」は、学会HP(学会規約/日本農業史学会賞表彰規程細則/別添書式)からダウンロードしてください。あるいは、事務局までお申し出て下されば、送付いたします。
なお、学会賞と奨励賞はそれぞれ別の書式を使用することになります。ご注意ください。不明の点がありましたら、事務局までお問い合わせください。
2)2014年度研究報告会について
2014年度研究報告会は、来る3月28日(金)に神戸大学にて開催いたします。従来と同様に、午前中に個別報告を行い、午後にシンポジウムを行う予定です。研究報告会に関する詳細は、内容が確定したのちに改めてご連絡いたします。
(1)個別報告希望者の募集
個別報告をご希望の方は、事務局までお申し込みください。申し込みの締切りは2013年1月31日といたします。なお、申し込みの際、報告要旨(1,000字以内)をご提出ください。報告時間は50分(報告40分、質疑応答10分)を予定しています(報告者数が多い場合には短縮されることがあります。あらかじめご了承願います)。
(2)シンポジウムについて
シンポジウム・テーマ:人と家畜の近代史―畜産史研究の新領域―
座長および報告者:
趣旨解題:大瀧真俊(京都大学研修員)・足立芳宏(京都大学)
第1報告:板垣貴志(神戸大学)
「家畜預託慣行研究からみる畜産史の課題」
第2報告:野間万里子(京都大学研修員)
「帝国日本における青島肉・朝鮮牛の受容」
第3報告:大瀧真俊
「戦時下における軍馬政策の強化・再編と農業経営」
コメンテーター:玉真之介(徳島大学)
趣旨説明:
今回のシンポジウムでは、近代畜産史をテーマにとりあげる。このテーマはかつて、戦後の選択的拡大路線の下で畜産が急成長した際にその前史として注目を集め、産業・経済的視点からの研究が盛んに行なわれた。一方、近年では、動物に対する関心の急速な高まりを背景に、家畜の社会・文化的側面(近代に関しては食肉や競馬など)に焦点を当てた「動物史研究」という領域が確立しつつある。どちらも家畜の歴史をみる上で必要な視点であるが、近代日本の人と家畜の関わりの全体像を提示する試みはこれまで行なわれてこなかった。
この研究史上の課題に対して、今回の報告者3名は、いずれも経済史の実証研究に軸足を置きつつも、「牛と農村」「食と農」「帝国主義」「軍と農」といった視点から、畜産史研究の新領域を開拓してきている。第1報告(板垣)では、自身の中国山地の家畜預託慣行に関する実証研究を踏まえつつ、近代日本の畜産の非産業的側面(生存的側面)に着目する立場から、新たな畜産史研究の課題を提示する。第2報告(野間)では、主として、第一次大戦後の日本内地の牛肉消費の拡大に対して、山東牛・青島肉輸入と朝鮮牛(生牛)移入が果たした役割に着目、とくに朝鮮牛の内地での多様な受容のあり方を、肉質評価を含めて明らかにすることで、帝国的視点・肉食史的視点からの新たな畜産史研究の一端を提示する。最後に第3報告(大瀧)では、戦時期の軍馬需要の急増に対し、産馬政策が従来以上に軍需主体へ再編されていった様相を具体的に明らかにする。ここでは馬を媒介として畜産史と軍事史がいかなる形で結ばれていたかが示される。以上の3報告を通じて、近代における家畜のありようが立体的に提示されるだけでなく、耕種を中心とする農業史研究がこれまで看過してきた近代農村や農民の新たな側面が描き出されるであろう。
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